カナダ珍道中其の壱 Quebec city 1 はじめましてフランス語。

昨年の冬、突然思い立ちカナダに旅立った。特に明確な目的もなかった。或る日突然「そうだカナダに行こう!」との考えが降りてきたのだ。


というわけで急遽休みを都合し、山のような仕事を同僚に押し付け、トランクに適当に荷物を詰め込み旅立った。成田に着くと、カナダ行きの飛行機は機材の関係で2時間遅れになっており、暇をもてあまし空港内をぶらぶらしているとふとユニクロの看板が目に入った。さすがに「沖縄の冬着」=「日本標準の秋着」で冬のカナダに乗り込むのはまずいかと思い、カナダで履き替えようと暖かそうなズボンを一着購入した。我ながらいい考えだとほくほくしていたが、足元の穴あきクロックスがまずいのではないかという思いはこの時点では全く浮かばなかった。


トロント空港着。外は吹雪いていた。気温は「−10℃」と表示されていたような気がするが、暖かい空港の中では全く実感が湧かず、そのままケベック行き飛行機のあるゲートまで移動した。ゲートでチケットをもぎられそのまま外へ。零下の空気は水分を一切含んでおらず、ぱきぱきと乾いた空気が皮膚を裂く。地面に積もる雪をこわごわ踏みしめると、痛みはクロックスの穴から容赦なく進入し、たちまち足の感覚が無くなった。飛行機にたどり着くと、なぜかその一角のみ雪は無かった。


ケベック行きの飛行機の中はすでにフランス語の世界で、フライトアテンダントも"Bonjour!"と迎えてくれた。