出汁にハマる。

帰京してから、自分で料理する機会が増えたこともあり、出汁にハマった。第二次出汁ブームである。


思えば初めて出汁にハマったのは高校を卒業してすぐの頃であった。三条京阪の近くに程よく萎びた乾物屋があり、そこで購入した鰹節があまりに旨かったため、気が付くと鰹箱まで購入し、枕崎の本枯れ節を有り金をはたいて購入し、毎日毎日がしがしとカツオをかいていた。休日には鰹をかく刃の調節を行い、日々鰹の香りに包まれていた。

話は脱線したが、それ以来の出汁ブームである。もちろん沖縄に住んでいたときも、市販の鰹節と昆布などで出汁をとっていたが、京都に帰ってから、特に昆布出汁の美味さに開眼した。


思えば、こっちに引越してすぐの頃だ。たまたま近所を散歩していると、そこに昆布専門店があった。中では上等な昆布や昆布製品も売っていたのだが、てめえが通りがかったときには、店頭で利尻昆布の切れ端が、無造作に紙袋に入れて売られていた。見るからに「昆布1年分」くらいの量があきれるほど安く売られていた。「今だけですわ」との店員の言葉につられ、その紙袋を一袋購入した。それだけでは申し訳ないと思い、店に入り昆布とサンショウの炊いたものも申し訳程度に購入した。


さっそく自宅に帰り、出汁をとってみた。さすが利尻、切れ端とはいえきれいに整形されて売られているものと、旨みはさほど変わらないはずで。瞬く間に我が家の出汁の主役になった。


出汁をとり役目を終えた昆布は、賽の目に切りネギをまぶして、沖縄特産のシークヮーサーポン酢で食べると堪らない。食べきれない分は、ひたひたの酒にみりんを少し入れ、しょうゆで味付けして水分が飛ぶまで鍋で焙りつける。焙りゴマをまぶすと日持ちもし、弁当のおかずにもなる一品となる。沖縄っぽくクーブイリチーにしてもよい。余ることなく始末する楽しみにハマっている今日この頃である。来月誕生する予定のわが子にもしっかり出汁をとる子になって欲しいと思う。